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混乱したまま、必死で考えた。 相手が絵里さんなら、こんな話をするだろうか...... でも、じゃあ誰が...... 「......あ、の......やっぱり私、帰ります」 ここに、いたくなかった。 「え?もう帰っちゃうの?寂しいじゃない......」 絵里さんが、つまらなそうに口を尖らせる。 「......やっぱり今日は、私、呼ばれてないので......」 笑い声が響くこの場から、早く立ち去りたかった。 「そう......明日は月曜で学校だもんね......ごめんね?無理に呼び出しちゃって」 急に申し訳なさそうに言った絵里さんは、きれいな指で、キュッとタバコを揉み消した。 「あ、尚ちゃん、悪いけど、帰る前に一度、捨ててきてくれるかしら」 「......あ......はい」 一度手にした鞄を置き、差し出された灰皿を受け取る。 私は、それを手に、震える足で、その場を離れた。 .
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