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......本当は、気付いてたのに。 怪しいと思った事なんて、何度もあったのに。 いざ、こんな風に、二人の仲を確信してしまうと、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。 祐ちゃんと絵里さんが、二人並んで笑っている姿が頭に浮かぶ。 『絵里......』 『祐也......』 互いの名を呼び合う声が、すぐそこに聞こえる。 「また、一人になっちゃうのかな......」 ぼんやりと呟いた声は、激しい雨にかき消されてしまった。 私の身体を容赦なく打ちつける雨までもが、こんな私をあざ笑っているかのように思える。 肩下まである髪から、ポタポタと伝い流れる雫が、悲しかった。 冷たくなっていく手足が、悲しかった。 水を含んで、重くなっていく服が、悲しかった。 お気に入りの小さなバックが、濡れてクタクタになっているのが、悲しかった。 みんなみんな、悲しかった...... .
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