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シャワーを浴びてリビングに戻ると、吉岡くんは、ソファーの背もたれに置いた肘に頭を乗せ、ぼんやりとローテーブルを眺めていた。
「......あの」
声を掛けた瞬間、彼の身体がビクッと揺れる。
「あっ、ごめっ......なさい」
「......ビックリした......」
「......」
私は、あまり見た事のない、目をパチクリしている吉岡くんの顔に、思わずプッと吹き出した。
「......なに」
「だって......そんなに驚かなくても......」
笑いながら近付いた私に、ジロリと彼の視線がぶつかる。
「......牛乳、借りた」
「えっ?」
スクッとソファーから立ち上がった吉岡くんは、スタスタとキッチンに向かい、すでに用意されてあった手鍋が乗ったコンロに、カチ、と火を点けた。
「......あの、吉岡く......」
「座ってて」
まるで、自分の家のようにキッチンに立つ吉岡くん。
しばらくすると、おとなしくソファーに座っていた私の目の前に、マグカップに入ったホットミルクが、コトリと置かれた。
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