1572人が本棚に入れています
本棚に追加
初めて祐ちゃんの部屋に行ったのは、付き合い始めて1ヶ月が経った頃だった。
「尚の作ったカレー、超俺好み。あ、チーズ大盛な?」
祐ちゃんは、初めての私の手料理をあっという間に完食すると、おかわりをして食べてくれた。
食器を洗い終え、彼の元に戻った私は、
「......祐ちゃん......」
「ん?どした?」
タバコを吸っていた祐ちゃんに、初めて、自分の家に両親がいない事を話した。
「......お前、親の帰り遅いから大丈夫とか言ってたじゃねぇかよ。なんで今まで嘘ついてた」
少し怒った顔の彼は「......ったく」と言いながら、私の頭をコツンと叩いた。
涙目の私に、祐ちゃんは、
「尚、ずっと俺の側にいろよ」
「......えっ?」
「そしたら寂しくねぇだろ?」
いつものニッという笑顔ではなく......少し真面目な顔で言うと、私を力強く抱きしめた。
「俺は絶対、尚の側から離れねぇから」
祐ちゃんの温かい腕に包まれ、私は、初めて彼の前で泣いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!