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私はその夜、彼の家に泊まった。
「そんな固くなんなって」
「......だっ、だって......」
彼のベットの上でガチガチに緊張していた私の身体を......私の心を......いつもは強引な祐ちゃんは、ゆっくり、ゆっくりと、優しく解きほぐした。
「尚......」
何度も名前を呼ばれ......
「祐ちゃん......」
何度も名前を呼び......
私の目に浮かぶ涙は、次第に、初めての痛みのせいではなく、彼に愛されている事への、幸せと、安堵の涙へと変わっていた。
その日を境に、私達は、週に何度もデートをし、そのまま互いの家で身体を重ね......私はいつしか、母がいない寂しさを、彼にすっぽりと包み込んでもらっていた。
祐ちゃんがいるから、私は一人じゃない。
そう、思っていた......
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