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「お前、生活費どうしてんの?」
「お母さんが、定期的に5万円届けてくれてて......」
「じゃあ会ってんだ、母親と」
「......私が学校に行ってる間にしか来ないの。私に会いたくないんじゃないかな」
「......ふーん」
この会話をきっかけに、少しずつ彼は変わっていく。
デートの際の食事代は『俺が払うって』から『お前が払えよ』に変わった。
食事代だけじゃない......
映画を観る時も、ゲームセンターで遊ぶ時も、彼のタバコが切れた時でさえ、二人でいる時は、祐ちゃんは、一切自分の財布を開けなくなった。
私の、彼に愛されている無償の安心感は......
彼に嫌われない為のお金を伴ったものに、徐々に形を変える。
私は、それでも必死に笑って、自分の財布を開け続けた。
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