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「......ずっと、考えてたんだ」
「......えっ?」
『広瀬も、悪いよ』と呟いたきり黙ったままだった吉岡くんが、不意に口を開いた。
「ずっと......うちのコンビニで会った時から......なんで広瀬はあの人と付き合ってるんだろう、って......考えてた」
「......」
吉岡くん......
「昨日......広瀬のお母さんの話を聞いて......なんとなくわかった。広瀬は、寂しくて、心細くて......誰か、自分を必要としてくれる人と、一緒にいたかったのかな、って」
「......」
考えるように、机に目を伏せながら話す彼の隣りで、思わずキュッと唇を噛む。
『好きだから、彼の事......』
『ホントはいつも、すごく優しいの、私の彼』
『じゃなかったら、付き合ってるわけないじゃない』
コンビニやクラスでの、私の必死の強がりを......吉岡くんは、あっさりと見抜いて、あれからずっと、気にかけてくれていたんだ......
唇を噛み締めていた私の胸の奥が、ズキリと痛んだ。
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