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「お前大丈夫なのかー?」
「......はい」
「この前も授業サボってトイレに籠もってたくらいなんだから、ちゃんと薬持ち歩いた方がいいんじゃないのかー?」
「......はい」
というか、その話、持ち出さないでくれるかな......
「電気代もったいないからさっさと帰れよー?」
「......はい、すみませんでした」
小さく頭を下げると、村木先生は、「吉岡頼むなー」と手を上げ、サンダルの音を響かせながら戻って行った。
「......」
「......」
チラ、と隣りに目を向けると、視線の先には、未だ涼しい顔で椅子に座っている吉岡くんが見える。
「......あの、吉岡くん」
「なに?」
「なんか、私だけ注意されちゃったんだけど......」
「うん、そうだね」
「......」
「さっ、帰るよ?」
「......」
私は、クスクス笑いながら席を立った吉岡くんの背中に、思わずムウッと口を尖らせた。
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