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「ちょっと尚っ、人の彼氏ガン見しないでくれるっ?」
「へっ?」
声に振り向くと、隣りから、ジロッと私を睨んでいる、梨花の怖い顔が見える。
「あんた今、石田に熱い視線送ってたでしょっ」
「......えっ、ちっ、違うよっ......」
「え?じゃあ何?吉岡?」
「違っ......!」
......く、ないけど......
みるみる肩を竦めた私は、そろりと腕を伸ばし、机の上に置きっぱなしにしていたクリームパンの袋を開けた。
「てか、あの二人ってさ、実は中学一緒で、昔から仲良かった、って知ってた?」
梨花が、ストローに口をつけたまま、牛乳パックをくしゃりと潰す。
「え?そうなの?」
「うんっ。高校入って別のクラスになったから、中学の時ほどは一緒にいなかったけど......今年同じクラスになって、また一緒に行動するようになったんだって」
「......そうだったんだ」
吉岡くんのそんな話を知らなかった私は、なんだか少し、胸が苦しくなった。
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