1572人が本棚に入れています
本棚に追加
***
お風呂から上がり、携帯の画面を見ると、午後9時を少し過ぎていた。
通話履歴を表示し、発信しようと伸ばした私の手が、今日も震える。
「......」
私は、携帯を手にしたまま、画面を見つめた。
なんの躊躇いもなく押す事ができていた日が......懐かしく感じる。
3日前の電話で、
『話したい事があるんだけど......今から行っても、いい?』
確認した私に、祐ちゃんは、
『あ?無理』
そのまま電話を切った。
昨日のメールで同じ事を尋ねた私に、いつまで待っても、彼からの返信はなかった。
部屋で、絵里さんと一緒に過ごしてるんだろうか......
今となっては、私にとって、考えても意味のない事なのに......ついそんな考えを浮かべるどころか、胸が締め付けられる自分が、嫌になる。
.
最初のコメントを投稿しよう!