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テレビからは、この場の空気に似合わない、楽しそうな笑い声が漏れている。
こちらを睨んでいた祐ちゃんは、スッとその画面に目線を移すと、不機嫌そうな顔で、再びビールを飲み始めた。
膝の上に乗せた自分の手元を見ながら、ゆっくりと口を開く。
「......だって......祐ちゃんは、いつでも私の事、捨てれるんでしょう......?」
「は?」
「......だから、私、もう捨てられてもいいから......」
「何言ってんの、お前」
「だから、祐ちゃん......私を......」
「男でも出来たのかよ」
「......え?」
思わず顔を上げると、祐ちゃんは、いつになく、真っ直ぐに私を見ていた。
「てめぇ、男出来たんだろ」
「......なに、言って......」
「そうなんだろ」
「......」
......どうして、私なの......?
どうして、そんな真っ直ぐに私の目を見ながら、私のせいにするの......?
私は、そんな彼を、しっかりと見つめ返した。
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