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そのまま何かを考えるようにした後、小さく舌打ちをした祐ちゃんが、呆れたように顔を逸らし、タバコに火を点ける。
服に、髪に、何度も染み込んだ匂いが、白い煙と共に、私の間近に漂った。
やっぱり、心当たりがあるんだ......
私は、無言になった彼の手元を見つめていた。
大きく白い煙りを吐き出した彼が、不意にこちらを振り向く。
「つーかお前だろ?」
「......え?」
「お前が付けたんじゃねぇの?キスマーク」
からかうような彼の口調に、私は、顔を逸らし、ギュッと唇を噛んだ。
「......私、そんなことした事ないじゃない」
「てめぇだろーが」
「......違う」
「自分で付けといて忘れたのかよ」
「......絶対、私じゃない」
負けない......
私は、さらに唇を噛み締めた。
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