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「......つーかマジ面倒くせぇな、お前」
私の反応が面白くなかったのか、祐ちゃんは、缶ビールを手にしたまま、私の横顔に向かって白い煙りを吐き出した。
私は、心を奮い立たせ、正面からしっかりと彼を見つめた。
「私......全部知ってるよ?絵里さんとの事」
「は?何が」
「......祐ちゃん、うちにパパもお母さんもいない事、絵里さんに話したよね?」
「......だったら何なんだよ。ホントの事だろーが」
平然と話す彼に、胸の奥が苦しくなる。
私は、必死で冷静さを保ち、言葉を続けた。
「絵里さんから貰ったんだよ?祐ちゃんのキスマークの写真。......祐ちゃん、何度も彼女と寝てるんだよね?」
「......」
「それに絵里さん、祐ちゃんがシャワー浴びてる最中に、わざわざ私に電話してきた事もあるんだよ?それを知らせるみたいに」
「......」
「絵里さんのタバコの吸い殻も、あのゴミ箱にたくさん捨ててあったもんね?いつも来てるって事だよね」
「......」
震えてしまいそうな声を、無理矢理落ち着ける。
「ねぇ、祐ちゃん......」
「......」
「祐ちゃんは、私を、騙してたんだよね......?」
私は、今にも滲んできそうな涙を、必死で堪えた。
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