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「今日は見せないよ」 「......わかってるよ......」 吉岡くんの言葉にシュンとしつつ、そろりと辞書に目線を戻す。 これまでにも何度か宿題を忘れ、彼に写させてもらっていた私は、先日ついに、 『次からはちゃんと自分でやって来なよ?もう見せないからね』 と、彼に、最終通告を出されてしまっていた。 だから、早めに登校して終わらせようと思ってたのに...... 肩を落としながら、ひたすら辞書を眺めていると、 「......っていうかさ、広瀬」 「えっ?」 吉岡くんは、いつの間にか、横からジーッと私の姿を凝視していた。 「お前さ」 「あ......はい......」 宿題をやって来なかった事に対しお説教をされるのではないかと、思わず身構える。 「お前、暑くないの」 「え?」 「長袖」 「......あ、うん......へ、平気」 私の制服の長袖ブラウスを見つめながら首を傾げている彼の隣りで、 私は、手首まであるその袖口を、クイッと引っ張った。 .
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