16

8/20
前へ
/1362ページ
次へ
「えっ......あ、あの、わかってた、って......」 「俺がお前の嘘に騙されるわけないだろ?風邪引いてるかどうかなんて、顔見たらわかるよ」 「......」 余裕の表情でさらりと言いのける彼の横で、ポカンと固まる。 だから、どうしてわかっちゃうの...... 無言のまま彼を見つめていた私に、小さくため息をついた吉岡くんは、不意に、ゴソ、と身体をこちらに向けた。 「っていうかさ、長袖で暑くないのか、って聞いただけなのに、なんでわざわざ嘘つく必要があるの」 「......それ、は......」 説明を求める吉岡くんの眼差しから、思わず顔を逸らす。 「......広瀬」 「......」 「お前、何か隠してるだろ」 「......」 どうしよう...... この週末の間、ずっと葛藤していた気持ちに、未だ答えが出せずにいた私は、どう答えたら良いのかわからず、そのまま口を閉ざした。 .
/1362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加