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「えっ......あ、あの、わかってた、って......」
「俺がお前の嘘に騙されるわけないだろ?風邪引いてるかどうかなんて、顔見たらわかるよ」
「......」
余裕の表情でさらりと言いのける彼の横で、ポカンと固まる。
だから、どうしてわかっちゃうの......
無言のまま彼を見つめていた私に、小さくため息をついた吉岡くんは、不意に、ゴソ、と身体をこちらに向けた。
「っていうかさ、長袖で暑くないのか、って聞いただけなのに、なんでわざわざ嘘つく必要があるの」
「......それ、は......」
説明を求める吉岡くんの眼差しから、思わず顔を逸らす。
「......広瀬」
「......」
「お前、何か隠してるだろ」
「......」
どうしよう......
この週末の間、ずっと葛藤していた気持ちに、未だ答えが出せずにいた私は、どう答えたら良いのかわからず、そのまま口を閉ざした。
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