1572人が本棚に入れています
本棚に追加
祐ちゃんとのあの夜の事を、私は吉岡くんにどう話すべきか、迷っていた。
何度も嘘をついている吉岡くんに、これ以上、嘘をつきたくないという気持ち。
けれど、正直に言ってしまえば、また彼に心配をかけてしまうだろう、という不安。
私の背中を押してくれた吉岡くんに対して、きちんと、ありのままを報告しなければいけないのはわかっていたけれど......
でも、祐ちゃんに別れてもらえず......その上、腕を掴まれて、引きずられて、ベットから突き落とされて、痣ができた、だなんて......
とてもじゃないけれど、彼には言えなかった。
本当は今頃、吉岡くんに、胸を張って報告しているはずだったのに。
私の間違いを指摘し、正してくれた彼に、安心してもらえているはずだったのに。
こんなはずじゃ、なかったのに。
私は、ただ黙って俯く事しかできなかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!