1572人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前、それが嫌であの人と別れようとしたんじゃないの」
「......それは、そう、だけど......」
「......」
「......」
心臓が、ものすごい勢いで、バクバクと音を立てる。
そうなんだけど......
わかってるけど......
でも私、怖いんだよ、吉岡くん......
彼に逆らうの、怖いんだよ......
その言葉を言えないまま、キュッと唇を噛んだ私の前で、
「っていうか......ごめん。違うよな」
吉岡くんは、なぜか再び、ため息交じりに俯いた。
「......え?」
「俺、ホント......ごめん」
「......あの、吉岡......くん?」
訳がわからないまま、目の前の彼を見つめる。
「ごめん。ホントは、責めるつもりじゃなかったんだ......」
「......え、っと......」
「でも俺......広瀬の事になると......ホントにダメだ......」
肩を落としている吉岡くんを見ながら、私の胸の奥が、ズキンと激しく痛んだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!