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「尚ーっ、行くでしょ?」
「あ......うん!」
昼休み。
いつものように、梨花が私の席にやって来た。
梨花とは、高校に入学してからずっと同じクラスで、いつも一緒に行動している。
「あー、お腹減った!カレーパンまだあるかなぁ?」
購買に向かう途中の廊下で、私の一歩先を歩く梨花。
手元には、お弁当ではなく、彼氏の石田くんからもらった、ピンク色の財布が握られていた。
「ねぇ......梨花」
「んー?」
「......そろそろ、お弁当持ってきなよ」
「なんでー?」
「だって......」
言葉に詰まってしまった私の前で、くるりとこちらを振り返った梨花は、突然、グイッと私に顔を近付けた。
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