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店内に足を踏み入れると、黒いエプロンをした女性の店員が、すぐに私に近付いてきた。
「お客様、お一人様ですか?」
「あ......あの、待ち合わせで......」
話しながら店内を見渡すと、短いカウンター席の一番端に、年配の男性が一人、座っている。
窓際に設置された二つのテーブル席は、どちらも空席になっていた。
まだ来てないよね......
「お待ち合わせでしたら、テーブル席の方がよろしいですよね?」
「......あっ、はい」
20代半ば位だろうか......
私みたいな子供相手に、キレイな敬語を使う店員さんに、若干申し訳ない気持ちになってしまう。
「ご案内します。どうぞ?」
「はい......すみません」
私は、なぜか身体を小さくしてしまいながら、誘導された奥のテーブル席に、静かに腰を下ろした。
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