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*** 「お待たせ、尚ちゃん」 ぼんやりと携帯を弄っていた私は、不意に頭の上から聞こえた声に、ビクリと顔を上げた。 「ごめんね?出掛けにちょっとバタバタしちゃって......」 「......あ、いえ......」 約束の時間より20分程遅れて来た彼女から目を逸らし、携帯をバックにしまう。 私は、ちょっぴりの緊張感を抱えながら、椅子の上で姿勢を正した。 今から1時間程前の電話で、私は彼女に呼び出された。 一瞬、電話に出る事さえ躊躇したものの、私も彼女に聞きたかった事がある。 私は、勇気を出して、『久しぶりに会いたいんだけど......』という、彼女からの申し出を受け入れた。 私の正面に座った彼女が、先程の店員にアイスコーヒーを注文し、ニッコリとこちらに向かって微笑む。 「久しぶりね?尚ちゃん、元気だった?」 ......元気なわけ、ないじゃない...... 今では嫌みたっぷりに見える彼女の笑顔に、 「......はい」 私は、小さく答えた。 .
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