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「私はカレーパンが食べたいのっ!なんか文句あるっ!?」
「......」
怖い顔の梨花を目前に、思わず口をつぐむ。
けれど......
私が毎日購買に通うようになったせいで、梨花が、私に気を遣ってお弁当を持って来なくなった事に、私は気付いていた。
「おばさん、心配するよ?毎日パンばっかりじゃ......」
「あー、うちのお母さん基本的に料理苦手だからさぁ。毎日ワンコインで済むなら、そっちの方がいい、って」
......嘘つき......
うちのお母さんの卵焼きは世界一、って......梨花、言ってたじゃない......
「それより早くっ!カレーパン売り切れちゃう!」
梨花に勢いよく腕を引っ張られた私は、胸の奥にチクッとした痛みを抱えながらも、購買へと一緒に走った。
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