1573人が本棚に入れています
本棚に追加
何？『奪う』って......
「......あの、意味がわかりません」
奪ったのは、絵里さんの方じゃない......
なのに、どうして私が悪いの......？
混乱する私を、その冷たい目で、ジッと見つめていた絵里さんは、
「私と祐也ね？ずっと、付き合ってたのよ？」
突然、小さく笑った。
「......えっ......？」
ずっと、って......
どういう......事？
「尚ちゃんさえいなかったら、私達は別れる事なんてなかったのに......なんで祐也の前に現れたのよ」
「......」
無表情な彼女の目と、覇気のない静かな声に.....私の身体に、ゾクリと寒気が走る。
「あの......でも絵里さん......さっき、祐ちゃんと付き合い始めたのは、私に電話して来た、あの日からだった、って......」
彼女はさっき、確かにそう言った。
だったら、彼と付き合っていたのは、私の方が先じゃ......
私の言葉に、再びふっと表情を緩めた絵里さんは、
「だから......昔からずっと付き合ってたのに、尚ちゃんのせいで、別れる事になった、っていう事よ。ホント尚ちゃん、頭悪いわね」
呆れたように、視線を落とした。
.
最初のコメントを投稿しよう！