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「何度も浮気されては、その度に喧嘩して......でも、結局はいつも、別れずに付き合っていく、っていう道を選んでたんだけど...... でもね?尚ちゃんの時だけ、私、祐也と別れたの」 「え......」 チラリと顔を上げると、 「どうしてかわかる?」 絵里さんは、私を見つめ、少しだけ微笑んでいた。 どうして、って...... 「えっと......何回も、浮気、されたから......」 「......」 「だから、いい加減祐ちゃんの事が、嫌になった......とか、ですか?」 それ以外の答えが浮かばなかった私に、 「違うわよ。ホント尚ちゃん、頭悪くて嫌になっちゃう」 絵里さんは、再び呆れたように言った。 彼女の視線が、静かにテーブルへと落ちる。 「......初めてだったのよ......」 「......あの、何が......」 「......初めて、祐也の方から、言われたの。『別れてくれ』って」 「......えっ?」 「浮気して喧嘩する度に、誤魔化したり、もう二度としない、って言って、私と別れようとしなかったあの人が......尚ちゃんの時だけ、初めて自分からそう言ったの」 「......」   俯く絵里さんの目が、潤んでいるように見えて......私は、どうすれば良いのかわからないまま、キュッと唇を噛んだ。 .
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