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勉強机の引き出しを開けた私は、二つ折りの、ピンクの画用紙を取り出した。 折り紙で作った小さな花が貼られている表紙の中央には、 『なおちゃん 6さいおめでとう』 という文字が、大きく書かれている。 そっと中を開くと、折り目の右側には、当時通っていた幼稚園の先生が書いた、『おおきくなったら?』の文字。 その下には、幼い頃の私が書いた、 『ようちえんのせんせい』 という、歪な文字が並んでいた。 一文字一文字違う色のペンで書かれたカラフルな彩りに、私の口から、思わずふふっ、と声が漏れる。 『おうちのかたから』の下には、黒いペンで書かれた、力強い、大きな文字。 『お母さんみたいな、やさしいせんせいになろうな!』 ......私の頭に、大好きだった父の笑顔が浮かんだ。 .
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