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「あ......の......こんばんは......」
白煙に包まれた部屋が一瞬静まると、相変わらず私の足が竦んでしまう。
「遅ぇよお前、10分以内に来いっつったろ?」
「......ごめん、祐ちゃん......でも......」
さっき電話で、10分は無理、って......
「は?でもなんだよ」
「......あっ、ううん......ごめん、なさい......」
小さく舌打ちをする彼を前に、私はいつものように、その顔色を窺いながら、彼の隣りに座った。
「もうー、お前、自分の女にそういう言い方すんなよー、かわいそうだろぉー?」
「そうだよ祐也、あんた尚ちゃんに厳しすぎー!」
きゃはは、と笑いながらのこんな言葉には、いつまで経っても慣れない。
「うっせーな、俺の女に何言おうが関係ねぇだろ」
缶ビールを手にした祐ちゃんは、面倒くさそうに言った。
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