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「おはよう、広瀬。今日も早いね」
HRまで、まだ時間がある、朝の教室。
いつもの柔らかい声が聞こえる。
数学の時間にプリントを借りて以来、吉岡くんと私は、挨拶を交わしたり、10分休みの時間に他愛のない話をしたり......少しずつ会話をする機会が増えていた。
「おはよう。吉岡くんも、いつも早いよね?」
「うん、なんか、朝練の癖が抜けなくて」
「朝練?」
キョトンと隣りの彼を見つめる。
「あぁ......俺、2年の時までバスケ部だったんだよね」
「え?そうなの?」
......それは初耳。
2年の時まで、っていう事は......
「辞めたの?」
「うん。うちの部、強くないからさ。どうせ3年はすぐに引退だし......今は、バイトしてる」
吉岡くんは、なんでもない事のように、さらりと言った。
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