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「うちの学校、バイト禁止じゃ......」
恐る恐る言ってみると、
「基本的にはね。けど、理由によっては許可が出るんだよ」
吉岡くんが、にっこりと微笑む。
そ、そうなんだ......
てっきり、隠れてバイトしてたのかと思ってしまった......
勘違いした私は、こっそり肩を竦めた。
「あ、でもテストの点数が、学年平均より上じゃないと許可は出ないから......広瀬は無理かな」
「えっ?」
目の前の吉岡くんが、ふっと口角を上げる。
最近、気付いた事。
口数が少ないと思っていた吉岡くんは、意外にも色んな話をしてくれる。
そして、吉岡くんはたまに、こういう、ちょっと意地悪な顔をする。
「......ひどいよね、吉岡くんって」
「ホントの事だろ?だって、昨日返ってきた英語の小テストが、48点じゃね......」
え......
「みっ、見たのっ......!?」
「見えたんだよ。隣りであからさまにため息ついてる広瀬が悪いよ?」
......うっ......
思わず口を閉ざした私に、吉岡くんは、勝ち誇ったような顔で、再びにっこりと笑った。
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