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「あの、もしも......」 『今どこ......?』 予想外の吉岡くんの第一声に、私は思わずキョトンとした。 え...... 『今......どこにいるの』 戸惑う私をよそに、吉岡くんが再び同じ言葉を繰り返す。 メールの内容を聞かれるものだと思っていた私は、彼の質問と、なぜか切ない声を不思議に思いながらも、 「あの、家だけど......」 当たり前の答えを返した。 『......家って、自分の家?』 「......うん」 『自分の部屋?』 「......うん」 『2階?』 「......うん」 『一人?』 「......うん」 『上がっていい?』 「......うん」 『おじゃまします』 「......」 ......おじゃまします? 「......えっ!?」 思わず返事をしてしまった私は、 「あのっ、吉岡くん今どこにいるの?」 慌てて彼に聞き返した。 『広瀬の家』 なんでもないように答える彼。 私の家......? え......なんで...... 混乱する私の耳に、パタンと玄関の扉が閉まる音が聞こえた。 .
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