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そんなに......心配してくれてたのかな。 彼のあまりにも悲しげな表情に、風邪を引いたと嘘をついた事を、改めて申し訳なく思ってしまう。 けれど私は、 「あの、ホントに風邪、大した事ないよ......?」 「......」 嘘を貫き通すしかなかった。 昨夜の事は、絶対言えなかった。 あと...... 「......あと、これは、ただちょっと寒いというか......」 「......」 頭と目しか布団から出していない自分も、ついでに弁解する。 吉岡くんは、そんな私を黙って見つめていた。 なんで黙ってるんだろう...... もしかして、さっき隠れたから怒ったのかな...... おずおずと彼の表情を窺った私は、 「あの、さっきのは寝た振りじゃなくて、急に吉岡くん来るから、ビックリしたというか......」 「......」 ......違うのかな。 黙り続ける彼に、他の理由を探す。 あ、2回も電話無視したからかな...... 「あの、朝もさっきも、私寝てて......電話、気付かなくて......ごめん」 「......」 私の様々な言い訳に、吉岡くんは何も答えてくれなかった。 どうしよう...... いつもと違う様子の彼に戸惑い、これ以上言葉が出なくなる。 私は、吉岡くんの、痛いほどの視線に耐えられなくなり、そっと目を逸らした。 もしかして、何かあったのかな...... 逆に彼を心配していると、 「......ケガ、してない......?」 吉岡くんは、突然口を開いた。 その言葉に、ドキリと心臓が跳ね上がる。 私の視線は一瞬で彼に戻った。 「え......あの......」 「ケガ......させられてない......?」 吉岡くんは、相変わらず悲しそうな顔で、再び言った。 .
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