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「いただきます」
「うん」
「......」
「......」
「あの、吉岡くん......」
「ん?」
「ちょっと、食べずらい」
「なにが?」
「あの......」
吉岡くんが、机の脇に立ち、まるで私を監視するかのように顔を覗いている。
見られながら食べるのが恥ずかしかった私は、
「あっちに座ってて欲しいんだけど......」
床を指差し、吉岡くんを見上げた。
「なんで?」
キョトンとする彼。
「だって、こんな近くで見られると......」
「ちゃんと顔見ないと美味しいか不味いかわからないだろ?」
「ちゃんと感想言うから......」
「......お前すぐ嘘つくだろ」
「......」
そんな言い方しなくても......
自業自得とは言え、ズバッと言われるとさすがに悲しくなる。
言い返す事ができなかった私は、仕方なく彼に監視されながら、お粥を掬い、茶碗にうつした。
少し冷まして口に入れる。
食べた瞬間、涙腺が弱りきっていた私の目にじわりと涙が浮かび、私は慌てて目元を擦った。
「え......不味い?」
「あっ、ううん......」
「え、熱い?」
戸惑う吉岡くんに焦った私は、
「あ、違うの、初めてだったから......」
慌てて首を横に振った。
「え、お粥?」
「......」
そんな訳、ないじゃない......
私は、心の中で突っ込んだ。
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