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*** 青い巾着を手に、梨花の席に座った吉岡くんを、ワクワクしながら見つめる。 「でさ、尚。明日なんだけど、いいよね?」 「うん......」 巾着に手をかけ、お弁当を取り出す彼。 「石田の希望は唐揚げだからねっ?あとさ......」 「うん......」 お弁当の蓋を開けた吉岡くんは、その瞬間、目をパチクリし、遠くから私にジロリと視線を向けた。 思わずぷっと吹き出してしまう。 ホントに入れちゃったもん。 唐揚げと卵焼きだけじゃなくて、ナスもちゃんと食べてよね? 昨夜の驚くようなキスと、朝からたくさんドキドキさせられた仕返しに、私はこっそり、炒めたナスをお弁当に仕込んでいた。 キッチンにナスあって良かった。 吉岡くんのビックリ顔、朝から楽しみにしてたんだよな。 ムッと私を睨み続ける彼に、なんだか、初めての勝利に近い喜びを感じてしまう。 嘘じゃないよね?吉岡くん。 ちゃんと、自分で完食してよね? ふふん、と彼に視線を送り返していた私は、 「てか尚っ!聞いてんのっ!?」 梨花の大きな声に、ビクリと振り返った。 「え......な、なに?」 「なにじゃなくてっ!あんたさっきから私の話全然聞いてないでしょっ!」 「あ......き、聞いて、る......」 思い切り頬を膨らませている梨花を前に、途端に小さく縮こまる。 「じゃあ明日、一旦家に戻ってから、1時にこの前のスーパーに集合でいいよねっ?」 「......スーパー?」 キョトンと彼女を見つめると、 「もうっ!やっぱり全然聞いてないじゃんっ!明日また尚んちでみんなでご飯食べようって言ったのっ!」 梨花は、恐ろしい顔で私を睨み付けた。 「あっ、ごっ、ごめ......え、明日?」 「もう......」 呆れたように、大きくため息をつく梨花。 「明日さ、終業式で午前で終わるじゃない?だから、石田と吉岡とまた4人で集まって、尚んちでご飯食べよう、って。石田が」 「あ......そ、そっか......へっ?」 梨花の話の意味を理解した私は、握った箸を、ポロリと落としそうになった。 .
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