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「尚ちゃん、今日は家に帰るのよね?」
「あ、はい。祐ちゃん寝ちゃったので......」
一度眠ってしまうと、よっぽどの事がない限り、祐ちゃんは朝まで起きない。
彼に何も言われない日は、私はここに泊まる事なく、自宅に戻っていた。
「私、今日はまだ時間あるし、もう一本だけ飲みたい気分なんだけど......尚ちゃんはもう帰る?」
「え?......っと......」
......私だけ、帰るわけには......
「あ、じゃあお付き合いします」
「そう言うと思った。いくらなんでも、彼氏の家に他の女を残して帰れないわよね?」
「......あっ、そういうわけじゃ......」
あっさり私の胸の内を読みながら、クスクス笑っている絵里さんを前に、少し恥ずかしくなってしまう。
「じゃあ尚ちゃんもつき合ってくれるわよね?」
「あっ、はい。私、持って来ます」
私は、少し火照った顔のまま立ち上がり、スタスタとキッチンに向かった。
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