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「え......なにが?」
私もパチクリしながら見つめ返す。
「なんか......前よりちょっと、強くなった......?」
強く......?私が......?
「え......そ、そうかな」
「うん......だって、前は私にそんな言い方しなかったじゃない」
「......そ、そうだっけ?」
「うん......なんか、やっぱり変わった気がする。いい意味で」
「......そんな事......」
梨花に褒められ、なんだかちょっぴり恥ずかしくなった私は、照れながら、そっと顔を伏せた。
「だってさ......」
「うん......?」
「私が知ってる尚は、オロオロしてて、ハッキリしなくて、たまにイラッとするのが尚だよ?」
「......え?」
梨花の容赦ない言葉に、伏せた顔を一瞬で上げる。
「やっぱり祐也くんと何かあった?」
「......」
......というか、イラッとさせてたんだ。
ご、ごめん。
褒められた気がしていた自分の自意識過剰さを一瞬で反省した私に、ふっと笑顔を向けた梨花は、
「まぁ......でも私、どんな尚でも好きだけどねっ。てかさっ、2学期、うちら近くの席になれるといいねっ」
再び何食わぬ顔で、お弁当を食べ始めた。
「......梨花......」
「てかさぁ、うちのお母さんのお弁当、卵焼き以外、全部冷凍食品なんだけど.....」
ブツブツ言いながら箸を動かす彼女を、ジッと見つめる。
梨花......?
私、全然強くなんかないけど......弱すぎる自分に、いつも本気で情けなくなるけど......
でもね?もし......もしも、私が前よりちょっとだけ強くなれてるんだとしたら......
それはきっと、梨花達のおかげだよ?
一人きりの私の側にいて、ずっと支え続けてくれる梨花達がいるから......私、少しだけ強くいられるんだよ......?
「ん?なに?」
ぼんやりと心の中で語りかけていた私は、ふとこちらを振り向いた彼女に、
「あ、ううん」
慌てて首を横に振った。
いつも私を気遣い、側にいてくれる梨花。
また4人で集まる機会を作ってくれようとしている石田くん。
そして......
こんな私の隣りで、いつも私を守り、支えてくれている吉岡くん。
私は、大切な仲間達に感謝しながら、明日を楽しみに、残りのお弁当に箸をつけた。
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