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*** 「美味いっ!さすが広瀬っ!」 「ホント?」 「うんっ。この下味の付け方とか、カリカリなのに中はジューシーな感じとか、マジ美味いっ」 ニコニコ笑顔の石田くんの言葉を確認した私は、 「......だって?良かったね?梨花?」 彼の隣りでちょっぴり頬を染めている梨花に、ニヤリと視線を送った。 「は?なにが梨花?」 「その唐揚げ、梨花が作ったんだよ?」 「......え」 ピタリと動きを止める石田くん。 「彼女の手料理に感動した?」 「......えっと......広瀬が作ったんじゃなくて?」 「うん」 「......梨花?」 「うん」 「......こいつ、手伝っただけじゃなくて?」 「うん。私、一切唐揚げには手出ししてないよ?最初から最後まで、全部梨花が一人で作ったの」 「......」 疑い深く、何度も確認した石田くんは、 「......どうりで変な味すると思った」 突然ボソッと余計な言葉を呟いた。 「......は?」 キュッと眉間に皺を寄せる梨花。 「なんか......かろうじて食えるけど、なんつーか......不思議な味っつーか......やっぱ、普段あんま料理しないのが表れてるっつーか......」 「......」 い、石田くん、マズいよ...... ボソボソ余計な言葉を連ねる素直じゃない彼に、必死に目で訴えていると、 「......食べなくていい......」 隣りの梨花も、ボソッと呟いた。 と思った瞬間、 「食べなくていいわよっ!てか口に入れてるもの出しなさいよっ!!」 梨花は、いきなり石田くんの胸倉を掴み上げた。 「おまっ、やめ......」 「うるさいっ!食べるなっ!」 や、やっぱり始まった...... 「石田のバカっ!最低っ!」 「じょ、冗談だって......」 「もう絶対あんたの為に料理なんかしないっ!」 「だ、だから、嘘......」 「ホント最低っ!大っ嫌い!」 「ちょ、り、梨花っ、お味噌汁こぼれちゃうっ......石田くんも、ちゃんと謝って......」 喧嘩を始めた二人を、オロオロしながら制する。 「あ、同じだ」 「はっ?」 私と梨花と石田くんの三人は、不意に聞こえた声に、パッと顔を向けた。 目線の先には、一人冷静に、箸で摘んだ唐揚げを見つめている吉岡くんが見える。 ふと顔を上げた彼は、 「この唐揚げ、昨日の俺の弁当に入ってたのと同じ味がする。なんでだろ」 私達に向かって、にっこりと微笑んだ。 .
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