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「だからさ、そもそもなんで公式覚えてないの」 「......うん」 「国語なら文章読めばなんとかなるかもしれないけど、数学とか社会は、公式や年表暗記しないと話にならないだろ?」 「......」 水曜日の午後。 ぴったりとくっつけた隣りの席で、吉岡くんは、まるで先生のような口調で言った。 黒板には、恐らく日直の生徒が書いたであろう『5時間目は自習です。騒がない!立たない!松本先生より』という大きな文字。 クラスの中は、立ち歩いている生徒は一人もいないものの、周りの友達とのお喋りに夢中になっている生徒ばかりだった。 ......確かに私から勉強教えて、って言ったけど...... チラッと窓際の梨花に目をやると、後ろの席の石田くんと、何やらラブラブトーク中らしい。 私は、先程から続く吉岡くんのダメ出しに、少しだけ気が遠くなっていた。 .
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