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「というわけで。続き、やるよ?」 「えっ?」 ガタッと椅子をこちらに向けた吉岡くんが、開いたままの私の数学のノートを覗き込む。 「あぁ......これじゃあ短大、無理かもね」 「......」 ちゃんと、見てないくせに...... 吉岡くんはきっと、自分で言い出しておいて、少し気まずくなってしまったのだと思う。 さっきより真剣にノートを見つめ、「えっとここは......」とブツブツ呟く吉岡くんの姿が、それを表していた。 「......あ、ここ。もう一回初めからやり直してみて。公式は合ってるから、ただの計算ミスだから。こんな間違いしてるようじゃ、危ないよ?」 「......うん」 ......というか、休憩終わるの早くないかな...... 私は喉のすぐそこまで出かかっていた言葉を静かに飲み込み、今度は真面目に、彼のダメ出し混じりの説明に耳を傾けた。 .
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