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「こんなに使わないってば......」 ハサミで封を開けた途端、思わずいつもと同じ言葉が漏れた。 二週間に一度くらいのペースで届く茶封筒には、毎回一万円札が5枚入っている。 折り目のついていない、新札。 それは、この半年間、毎回変わらない。 手紙もメモも入っていない封筒の中にお札を戻し、私はそれをそのまま、いつもの勉強机の引き出しに入れた。 私はこれがないと、ご飯が食べられない。 美容院にも行けない。 梨花とお茶することもできない。 新しい靴下も、下着も、学校で使うノートも消しゴムも......これがないと、買うことができない。 私は彼女に生かされている。 小さくため息をつくと、かわいそうなパンダの上に、ぽたりと一粒の涙が落ちた。 .
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