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目を覚ますと、部屋の中は少し薄暗くなっていた。 窓の外から「父ちゃんおかえりー!」という男の子の嬉しそうな声と、パタン、と玄関のドアが閉まる音が聞こえる。 私は、座ったまま眠り込んでしまった勉強机の椅子から立ち上がり、開けっ放しの窓を閉めた。 「あ、制服シワシワ......」 部屋着に着替え、リビングで、制服にアイロンをかけようとした時。 机の上に置きっぱなしの携帯が震えた。 祐ちゃん......? 急いで画面を確認すると、着信の相手は、数時間前に別れたばかりの梨花だった。 『もしもし尚?今、平気?』 さっきまで学校で聞いていたはずの声に、私の頬が再び緩む。 「うん、今起きたとこ」 梨花は「全く......あんたいつも変な時間に寝てるよね」と、呆れた声で言った。 .
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