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「うん!さすがっ!」
ソファーとローテーブルの隙間にちょこんと座った梨花が、満面の笑みを浮かべる。
私は、彼女の笑みにホッとしながら、目の前のフォークを手に取った。
「なんかさぁ、私が作るとパッサパサなんだよねぇ」
くるくると器用にフォークを回した梨花が、大きな口で、ペペロンチーノを頬張る。
「ごめんね、サラダとか何にもなくて......」
「いいのいいの、それよりお茶ちょうだい?」
「あ、うん」
大きなペットボトルのお茶を、彼女のコップに注ぎ足した私は、
「あの......今日ね、来たみたいで......」
少しドキドキしながら口を開いた。
「......え、お母さん?」
目を丸くした梨花の手が、ピタッと一瞬止まる。
「うん......」
私が頷くと、彼女は「......そっか」と目線を落とし、再びフォークを回した。
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