18/20
前へ
/1362ページ
次へ
*** 「尚ーっ、鳴ってるよー、携帯っ」 ソファーでテレビを見ながら寛いでいた梨花に呼ばれ、私は、慌てて泡まみれの手を水で流した。 急いでリビングに向かい、ローテーブルに置いたままの携帯を手に取る。 着信は、私の予想を反して、祐ちゃんではなく......先日番号を交換したばかりの、絵里さんだった。 もし着信の相手が祐ちゃんで、私が彼に呼ばれたら、せっかく来てくれている梨花に、このまま帰ってもらわないといけない。 私は、少しホッとしながら、通話ボタンを押した。 『もしもし尚ちゃん?』 「絵里さん、こんばんは」 チラッと時計を見ると、午後8時を少し過ぎている。 『ごめんね、急に。別に用はないんだけど......せっかく番号交換したのに、尚ちゃん全くかけてくれないから、こっちから電話しちゃった』 私は、絵里さんのその甘い声を聞きながら、キッチンの方へと戻った。 .
/1362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加