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「祐ちゃん......聞きたい事が、あるんだけど......」
「......は?ヤりに来たんじゃねぇの?」
からかうような口調で言った祐ちゃんが、先程から飲んでいる缶ビールに、クイッと口を付ける。
私は、膝の上に置いた両手に、グッと力を入れた。
「......この間の水曜日......絵里さん、ここに来た?」
「......なんで」
「......あの日、絵里さんから、電話があって......」
「は?なんであいつがお前の番号知ってんだよ」
途端に眉間に皺を寄せた祐ちゃんを前に、思わず怯んでしまう。
「あ、の......この前、番号、交換、して......」
うろたえながら説明すると、
「てめぇ、余計な事してんじゃねーよ」
祐ちゃんは、苛立った声で言った。
「......」
......番号、交換しただけなのに......
私はいつも、こんな彼に、謝る以外の方法がわからない。
「......ごめん、なさい......」
思わず俯いた私は、キュッと強く唇を噛んだ。
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