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吉岡くんの長い右腕が......白く細い指先が......ゆっくりと私に近付く。
私は、窓の外から響く、活気のある声を聞きながら、ぼんやりとその手を見つめていた。
彼の指先が、そっと私の目の下に触れそうになった時。
......あ......
彼の手が、ピク、と止まったかと思うと、吉岡くんは、そのまま、スッとその手を引いた。
「......ごめん」
「え......?」
「......広瀬......彼氏いるのに、ホントごめん」
「......」
再び顔を伏せてしまった彼を、ジッと見つめる。
......私は、バカだ......
一瞬、そのまま彼に触れて欲しいと思ってしまった私は......ものすごく、最低だ。
私は、自分の愚かさを思い切り恥じた。
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