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「ちゃんと食べないと......ますます痩せるよ?」
「え?」
「......広瀬、ここ何日かで痩せただろ」
「......」
もう、ダメだ......やっぱり泣きそう......
さっき、反省したばかりなのに。
私は、吉岡くんに優しくされると、自分の気持ちがわからなくなる。
「じゃ、俺、バイトだから帰るね」
立ち上がり、鞄を肩にかけた吉岡くんは、自分の椅子を、ガタッと机の下に入れた。
「あのっ、吉岡くんっ!」
慌てて立ち上がった私を、吉岡くんが、キョトン、と見つめる。
「あの......ありが、とう......」
ちょっぴり震えてしまった声で言った私に、ふっ、と目を細めた吉岡くんは、
「うん。また明日」
いつもの柔らかい笑みを浮かべ、一人、廊下の外へと出て行った。
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