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「ちょっと尚っ、ちゃんとここにいてよっ!」
「あ、うん、ごめん」
店内をフラフラと歩き回っていた私に、二枚の花柄のミニスカートを手にした梨花が、プリプリしながら言った。
彼氏の石田くんとのデート服が欲しいと言っていた梨花は、先程からぐるぐると色々なお店を回っていて、やっとこのお店で買う事を決めたらしい。
土曜日の午後の街中は、カップルや友達同士で賑わっていた。
「てかさぁ、どっちがいいかなぁ」
「......そんなに変わらなくない?」
ピンクの花柄とオレンジの花柄。
色違いのスカートを手に悩む梨花。
「全然違うでしょっ!ちゃんと見てよ!どっちが石田受けするか!」
......私、石田くんの好みよくわからないんだけど......
梨花のムッとした顔に怯んだ私は、グッとその言葉を飲み込んだ。
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