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「てかさー、尚も買っちゃえば?祐也くんとのデート服」
「......私は......いいよ」
鏡の前で2着のスカートを合わせている梨花に、無理矢理笑顔で答える。
デートなんて、最後にしたのいつだっけ......
ふと横を見ると、カップルで来ていた女の子が、試着室に入っていく姿が見えた。
彼氏は、そのすぐ側のソファーに座って待っているらしい。
『尚はこっちが似合うって!黙って俺の言う事聞け!』
少し強引な祐ちゃんに洋服を選んで貰うのが、私は嫌いではなかった。
初めてできた彼氏との買い物。
試着した姿を見られるのが恥ずかしくて、カーテンの隙間からこっそり顔だけ出した私の手をグイッと引いた祐ちゃんは、『やっぱいいじゃん』と微笑んだ。
そんな淡い思い出が蘇る。
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