エピローグ

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壁際に身を寄せ、腕組みをしながら、彼女の背中を見送る。 財布から、先程買った切符を取り出した広瀬は、スムーズに改札を抜けると、その場で足を止め、切符を財布にしまい始めた。 ほら......立ち止まるなら、端に寄らないと。後ろの人達がみんな、お前の事避けて通ってるだろ。 人混みの真ん中で、周りを気にせずのんびり切符をしまっている広瀬に、ちょっぴりヒヤヒヤしてしまう。 無事切符入りの財布をバックに戻し入れた広瀬は、数歩足を踏み出したかと思うと、突然、くるりとこちらを振り向いた。 ......どうした? 小さく首を傾げた俺の視線の先で、そっと右手を上げた広瀬が、遠慮がちにその手をヒラヒラさせる。 ......うん。気を付けて帰れよ? スッと片手を上げ応えた俺に、ちょっぴり照れたように微笑んだ広瀬は、前に向き直り、再びピョコピョコ歩き始めた。 ......かわいい奴め。 と思った瞬間、 あっ......! カクン、と前に倒れそうになった広瀬が、危機一髪でその身を立て直す。 危なっ......っていうか、なんでお前は段差も何もない所でコケるんだ。 ドキドキしながら見つめていた先で、チラ、とこちらを振り向き、へへ、と微笑んだ広瀬は、再び何事もなかったかのように、ピョコピョコ歩き出した。 へへ、じゃないから、全く。 とりあえずホッとしたのも束の間、 あっ......! いきなり手前の階段を降りようとした広瀬に、思わず身を乗り出す。 ......と、次の瞬間、ふと上を見上げ、パチパチ、とその目を瞬き、チラ、と確認するようにこちらを振り向いた広瀬は、 違うぞ広瀬、そこは1番線だ。お前が乗るのは、その先の階段を降りた3番線の電車だからな、って教えただろ? フルフルと首を横に振り、右手の指を3本立てて見せた俺に『あ、そっか』とでも言いたげな表情をし、へへ、と踵を返した。 ......だから、へへ、じゃないから、ホントに。 心臓をバクバクさせながら、彼女の背中を見守る。 俺の視線の先で、『3』の数字の階段前で足を止め、またもやこちらを振り向いた広瀬は、 うん、いいぞ?そこを降りて、次に来た電車に乗るんだ、広瀬。 コク、と頷いた俺に、コクコク頷き返すと、再び小さく手を振り、ホームへと降りて行った。 「......」 ......大丈夫かな、あいつ。 彼女の残像を前に、ぐったりと壁に寄りかかる。 .

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