序章

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はぁ……はぁ…… くそっ…… まだなのかよ…… 「うぐっ」 また血を吐き出す。 背後から音がする。 「来たか……」 俺は立ち止まる。 いや、座り込んだ。 はぁ……はぁ…… 音がすぐ後ろに聞こえる。 そして俺は、 「……!?」 逃げ出した。 もう手に抱えているモノは使えない。 俺はそれを全部捨てる。 せめて「そいつら」に当たればッ…… 鈍い快音を響かして「そいつ」を潰した。 捨てたモノは勢いのまま闇に消え去る。 しかし「そいつら」は止まらない。 俺は探す。 あるはずの「突破口」を見つけるため。 どれだけ走っただろう。それでも「そいつら」は付いて来る。 はぁ……はぁ…… 俺は壁に手を付く。 限界だ…… 「そいつら」に涙ぐんだ目を向ける。 「くそぉぉおぉおぉお!!」 意味のない抵抗。 声を張り上げて威嚇する。 「そいつら」の手が伸びてくる。 はぁ……はぁ…… みんな……ごめん。 見つけられなかった……ごめんな… ……その声は「吸い込まれて」聞こえなくなった。
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