第一章

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はぁ……はぁ…… 「はっ!?」 俺は起き上がる。 今何時だ? ……朝の六時過ぎか。 学校までまだ時間あるな。 よし。二度寝する。ぐー。 「彪悟!! 起きなさい!!」 「はっ!?」 俺は飛び上がる。 やべ、勘違いしてた。 六時。 遅刻ギリギリだ。 タンスから制服を取り出し着替えながら階段を下りるという珍妙な技を使いながら居間へ出る。 「自転車気をつけなさいよ」 お袋はそう言い残して寝室に消えた。 机の上には朝ご飯とお昼のお弁当が置いてある。 「ったく…… 夏休みだっちゅーのに学校に行くなんて」 お弁当を鞄に詰め込みながら呟く。 いや、愚痴るか。 一人で笑ってるのもどうかなのですぐに頬を戻す。 まぁとりあえず朝ご飯が先だ。 「いただきます」 と言って最初に手をつけるのはやっぱり味噌汁だった。 お椀を両手で持ち顔に近づけ、顔いっぱいに味噌汁の香りを受ける。 俺の毎朝至福になれる秘密アイテムだ。 この時だけは自然と頬が緩む。 ズズズッ「ぷはぁ~」 「ごちそうさまでした」 重ねた茶碗達に向かって合掌。 ふと時計を見て、 「六時半か……」 ………… 「遅刻だぁぁあぁあぁあ!!!」
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