異変

9/14
前へ
/87ページ
次へ
「はい、座った座った。」 教師が入ってきた。そして2時間目が始まる。 確か今日の授業は 「今日扱うのは近代史、ここ20年程のESP史のまとめだ。」 そう、それだ。 「まず進藤、知ってることだけでいい。ESPについて答えてくれ。」 進藤が立ち上がる。 「はい。まずESPとは人知を超える力、超能力という意味です。2013年に初めてそれを所持している人間が誕生しました。それから研究が続けられ現在ESP発現の原因は遺伝子細胞Zの存在だと予測されています。」 「さすが進藤。座ってくれ。」 着席する進藤。 「それに補足すると俺たち日本国民には能力者がみなその遺伝子Zを所持している可能性が推測されることから年齢が6歳に達するとその段階のESP特性検査が行われ、そして16歳には可能性の最終検査、つまりZ細胞活性剤の投与が行われる。ちなみに前者・能力が自然発生した者はジェネシス、後者・投薬により覚醒した者はアーティフィカルと呼ぶ。じゃあ、検査を受ける義務があるのはなぜか?…湊。」 指名され立ち上がる湊。 「私ですか?えっと、ESPは【暴発】することがあり、思考や技術的にも未熟だと犯罪に手を染める可能性があります。それを未然に防ぐにはしかるべき教育を受けさせなければいけないと感じます。それには国の財力・監視が必要だから検査が必要なのだと思います。」 「さすがバスケ部。やっぱ優秀だな。それにESPの所持者発見に国は躍起になっている。そこで問題になっているのは所持者数があまりにも少ない、すなわち希少価値があるということ。能力所持者を持たない国は軍事的政治的研究的さまざまな面で劣性となるんだ。そしてそのような国では内密に人の遺伝子操作を行う研究をしていることがある。中には死者がでて表ざたになった事件がある…それを…」 そして教師の目線が明らかに俺にやってくる。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加