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俺はすぐさま布団に潜った。この紅目を見られたらいろいろとやばい。
「遥?大丈夫なの?」
病室に駆け込み、急き立てられたように語りかけるわが母・美智子。
「お、おう。元気だ…ZE。」
テンションがおかしい息子・俺。
「もう、病院に運ばれてきたときびっくりした。路上に倒れてたんだって?」
「お、おう。」
「そんな軟弱に育てた覚えはないんだけど…ってあんたいい加減布団脱ぎなさいよ。」
「あ、いや、やっぱちょっと恥ずかしくって。」
あー俺何言ってるんだ。これは布団むかれて見つかっちまう。夢が現実ならばリアル紅目は母のトラウマをいじくり返す気がして見せたくなかった。泣いたから目が赤いのが正直恥ずかしいのも事実だ。
「はいはい。とりあえず無事でよかった。私仕事抜けてきたから戻るわよ。必要な荷物とかあったらメールしといてね。」
そういうと手をふって病室を去って行った。
俺はちょっとそっけないけど彼女が愛情深い人だと知っている。
そういえばあの記憶では俺は「遥」って名前を名づけられてる。しかもハルカってなんか聞き覚えがあるような…赤ん坊の時じゃなく少年のあの姿で。そうすると俺にはほかに名前があって、っていうことは美智子は本当の血のつながった母親じゃないことになるかも…。
あーこんがらがってきた!
(でも、)
俺は布団から抜け出し鏡の紅い瞳を見る。
俺は俺だし、母ちゃんは母ちゃんだ関係は変わらない。
きっと、そうだ。
俺は自分に暗示をかけた。
そして伸びをすると片目を手で隠しながら、とりあえず売店で眼帯を買おうと病室から飛び出した。
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